伝統芸から共通項を見出す

鍼灸は伝統だといいます。私はこの言葉に違和感がありますが、一応伝統文化です。何故違和感があるかといいますと、多くの鍼灸師が本当に伝統というものを大事にしているか？という事なんです。
　何か、伝統といいながら伝統の良さを自ら捨てているように見えます。私はかつてとある伝統文化の伝承にかかわった者ですから、鍼灸師の態度に違和感を感じてしまうのです。

　それはそうと、鍼灸は伝統だという訳で、伝統芸から以外に多くのものが得られるのです。鍼灸に取り入れやすい物として、私は囲碁将棋をあげたい。私が読んだ本の中では、羽生善治と谷川浩司が頂点。
　私が読んだ数年前は羽生「決断力」谷川「集中力」を好んで読んでいたが、今でもこの二冊はそれぞれの代表作と評価されているようだ。

囲碁将棋には「定石」（将棋は定跡）というものがあって、定跡から何を学ぶか？棋譜をどのように使うか？師匠と弟子、どのように自分に力を付けるか？など、将棋さしの本を読んで、随分共通項が多いと思いましたよ。

伝統芸能と将棋には似た部分が多い。それらの各論をここで述べるのはやめておきますが、決断力と集中力という本は、鍼灸をどのように学ぶと良いのか？色々考えさせる良書です。

さて、羽生世代の前が谷川、それ以前には大山康晴という人がいました。大山のライバル升田幸三と比較して、名人芸、大山、天才、升田と称される事が多いですが、私には、大山こそ「天才」の称号が相応しいと思えるのです。
誰も真似できない棋風と呼ばれた大山将棋には、鍼灸の沢田健に相通ずるものがあるのです。誰も真似できない事出来るのが「天才」なのですが、大山の再来と謳われたのが、今、竜王７連覇中の渡辺明。鍼灸界にも沢田の再来と称えられる人物は出てくるのだろうか？

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