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灸点治療法(按摩の心得)市石 喜代治 (前編)

ブログ「鍼灸学生のつぶやき」を書かれているkouitsuさんが見つけた本「灸点治療法」をさっそく買ってみた。
代田文誌以外の沢田流の本。そこで読んでみていくつか謎も解決したが、新たな謎も出てきました。そこで、「灸点治療法」を沢田流門下生であり沢田流書籍の代名詞と言って良い代田文誌「沢田流聞書 鍼灸真髄」「鍼灸治療基礎学」と比較検討をしながら、つれづれなるままに書いてみようと思います。


誰が書いたのか?
いきなり謎が出てきましたが、第一の謎として誰が書いたか?です。といいますのも、古本などで調べてみると「灸点治療法 按摩術の心得」堀越亀蔵 東京堂図書 1962 という本があるようです。名だけ見ると「灸点治療法」市石 喜代治 とあまりにも似すぎてきる。

 堀越亀蔵は澤田健門下生、鍼灸真髄にもその名を見る事が出来、また門下生として、市石圭佑という名を見つけることも出来る。市石圭佑と市石 喜代治は同一人物なのだろうか?息子、もしくは弟など近親者も考えられる。

「灸点治療法」では恩師沢田先生の御指導というくだりがあり、とりあえず、澤田健の第一世代の弟子が書いたものと推測しても良いだろう。堀越亀蔵が書いたものを市石 喜代治が新たに再販したのだろうか?

 因みに「灸点治療法」は1989年に第一版が出版されており、堀越版の再販と見ることも出来る。そこは謎といえる。前書きは(著者謹)とだけ書かれていて、名前が書かれていない。因みに(按摩について)というところは前書きを代田文誌が書いている。

 前書きに著者の名前がないというところに謎があるのです。


誰を読者層に考えられて書かれたのか?
誰を読者層として書かれたのか?も謎といえば謎です。本の体裁を考えれば、鍼灸師ではなく一般の人向けと思われます。ツボなどはセンチで書かれていて、やっぱり一般向けかな?とも思う。(しかし、センチが漢字の糎で書かれていて、読みにくい)ただ、一般向けにしてはツボが専門的な面もある。これは仕方がないかもしれない。だから鍼灸学生あたりが、妥当な読者層かもしれない。

 この本には違うメッセージがあるのではないかとも思うのです。つまり自分が伝えてきた灸術をとにかく残したかった。読者層は二の次にして。「とにかく残したかった」という想いから書かれたのかもしれません。この辺の解釈は、読む人それぞれです。


本書の内容

前書きの後、目次があり、第一章は「灸とは何か」第二章は「経穴篇」第三章では「治療篇」となっている。
面白いのは第一章で、経穴と柔術の当身と活法の類似点が書かれている。「鍼灸真髄」の沢田健先生小伝でも沢田健が柔術の達人だった事が書かれている。「灸点」ではさらに当身、活法についてページを割いている。
特に活法については、活法は第一段階、第二段階と順にこれがダメなら次はこれ、これでダメなら…と順にあるそうだ。それでダメなら「総活」といって、

絶息者をあおむけにし、拳を臍の上に置き、臍と「丹田」の間の「気海」を親指でぐっと押すのである。「灸点治療法」より 以下青の文字は引用文
これで沢田健が人を蘇生させたと書かれている。沢田流が丹田の充実を重視する根拠が書かれていると言える。また活法は沢田健が患者を触診する順序に繋がるかもしれない。
 第一章の最後に、灸の治療法の本は多数出版されているが多くは局所的で、根本的な治療が必要、そこで本書を活用してほしい、と説かれている。局所の病変も内臓の五臓六腑の調整を目的とする沢田流太極療法の一端を示した、といえる。


経穴篇
次にツボの位置、効用が文章だけで書かれている。尺ではなくセンチ(しかも漢字)で書かれていて、今となっては僕は逆にわかりにくい。第三章の治療篇ではイラストが付く。さて沢田流の特色として「沢田流神門」「沢田流京門」など一般書と違うツボの取り方をしている。
「灸点治療法」ではいちいち「沢田流○○」という書き方がしていない。京門などは沢田流の取穴になっている。しかし、太けいは沢田流太けいかといえば、必ずしもそうとは言い切れず、治療篇では、一般の太けいについてかかれたものか?と思わせる部分もある。統一性が徹底されていない。


少陰心経の経穴が使われていない
沢田流の特色として沢田流神門がある。これば便秘によく効き、今でも常用される向きもあるが、本書は沢田流神門はおろか、少陰心経の経穴が1つも使われていない。治療篇の便秘でも沢田流神門は使われていない。

 少陰心経は、というより「心」は君主の官として東洋医学では尊ばれている。そこで心の治療が必要な時は、心の周りを囲む心包、厥陰心包経で代用するという考え方がある。では心包経から治療穴はいくつあるかといえば、げき門と大陵の2つのみ。心臓疾患ではげき門を良く使っている。さて、実は心臓疾患にお灸は使えない、という古説がある。
それについては深谷伊三郎「家伝灸物語」から引用させていただく。

よく心臓疾患に灸はいけないという人がいる。医師でもそんなことをいう人がいる。なぜいけないかと聞くと、灸をすえて努責させると心臓に悪いというのであるが、これはあたらない。打膿灸のような大きな灸をすえるのでは努責をひどくさせる。施灸のとき、前の竹の棒へつかまっていないと
がまんできないほどに熱いとすれば、相当に努責をすることであろう。ところが小灸を施す場合、そんなに努責をするものではない。すえ方で努責をさせるようなことはしないですむようにできる。もし小灸の刺激が害になるのであったのならば、注射の針でも害があることになる。「家伝灸物語」深谷伊三郎著 より引用



うちの家伝灸の話で恐縮だが(だからあまり信用しないで、ふ~んそうなんだ~と軽く聞いてね)我が家の家伝灸の禁忌が心臓疾患で心臓発作に灸を使うな、と伝わっている。僕の曾祖母が使った家伝灸は、火がついているもぐさにもぐさを重ねていくという「重ね焼き」でこの施灸では心臓疾患では努責させるような方法になってしまう。
だから禁忌で正しいと思う。

因みに古典では背中の心臓を司る「心兪」は禁灸穴とするものもある。

灸点治療法では、心臓疾患でも心兪は使っている。しかし、少陰心経のツボは使っていない。君主の官の経穴であり、一般家庭では使いにくい、という配慮であろうか?また、心臓疾患への灸治療処方例は四つしかなく、他と比べても少ない。動脈硬化などは腎臓疾患に入れてある。心臓疾患への灸はきわめて慎重で、心疾患は禁忌説があることも踏まえての事だろうか?



大敦について

大敦は肝経の井木穴でありその取り方は、古来より諸説あった。教科書では足の第1指、爪甲角の近位外方1分、足の親指、爪の生え際の外側となっている。こうなったのは、沢田健の影響とする説があるほど。鍼灸真髄では、

大敦の取穴法
足の大指爪甲外角を去る韮葉の如きにあり。普通取る大指爪甲の付着部後面の中央三毛の処の穴は、肝経と脾経の交叉する処であると先生は云われる。「沢田流聞書 鍼灸真髄」より


灸点治療法では、中央(上記の中央三毛の処の穴)に取っている。ここは中央大敦と続に呼ばれるところであり、古式に則ったといえる。

命門について
沢田流では命門を沢田流命門と呼び、一般書の背骨の曲突起間ではなく、背骨の脇に取っていた。だが、灸点では、一般書の命門を採用している。沢田流の本ながらツボは沢田流で統一されていないから、少々、戸惑っています。


左陽池と中かん
沢田流の代名詞と言ってもいい左陽池と中かん、沢田健はこのお灸で数々の伝説を残しました。「鍼灸真髄」は必ずしも左陽池と中かんから始まっていませんが、
「灸点治療法」はほとんどの治療例で、左陽池と中かんから始まっています。この部分は徹底していて、沢田流らしさが随所に見られて、嬉しくなりました。


続く 灸点治療法(按摩の心得)市石 喜代治 (中編)

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プロフィール

やいと屋 知足斎

Author:やいと屋 知足斎
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幼少の時より喘息などに苦しみ、健康雑誌、東洋医学の世界に入り込む。中学時は三国志の影響で中国の古典に興味を持つ
大学は法学部に進むが鍼灸の夢、捨てきれず近くに鍼灸新設校ができたきっかけで、三十路目前に入学
曾祖母が家伝灸の使い手で、その影響で灸の研究、研鑽を積む毎日
趣味は民俗学研究 だが今は鍼灸に専念する為に封印
家伝灸研究も最近は趣味になりつつある
1年次より中医学の勉強会に通い、3年次は経絡治療も学ぶ。
長野式また撃鍼(打鍼)法
積聚(しゃくじゅ)治療の研究も進めている

平成二十二年三月鍼灸師合格 四月 鍼灸師登録
やいと屋として奮闘中

ナード・アロマテラピー協会認定
アロマ・アドバイザー

キネシオテーピングトレーナー

覚王山鍼灸研究所 研究員

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